塗装工事の価格は、リフォーム工事の中でも一番分かりにくい工事になります。
友人や知人からも「塗装工事の相場ってどれくらいなの?」とか、「適正価格はどんなもなの?」とよく聞かれます。
建物の大きさや形状、使用する塗料、施工会社の形態によっても違うため、車や家電のような工業製品のように定価が無く、
これと言った正解がありません。
相場はどれくらいなのかをお話しする前に、塗装工事の価格はどのように決まるのか説明します。
まずは一番大きな要素を占めている、施工会社の形態について。
種類として大きく分けて「ハウスメーカー」「リフォーム会社」「塗装専門店」「訪問販売会社」「個人事業主(一人親方)」等があり、
それぞれの説明とメリットデメリットを説明します。
ハウスメーカー
建設したハウスメーカーで、建物を管理してもらっている会社です。
施工は下請け業者に依頼する形で、受注を請け負い、現場の管理を行います。
●メリット :建物の構造や仕様を把握しており、塗装を含めリフォームする際に適切な提案をしてくれます。
ネームバリューがありクレーム対応を含め、安心感があります。
●デメリット:広告費含め多額の固定費が掛かっているため仕方がありませんが、経費を差し引いた純利益も高く設定しています。
延長保証を含めてではありますが、それを差し引いても価格は非常に高く、一番高くなってしまいます。
基本的に営業によるマニュアル通りの提案となるため、塗装する部分に不具合等がある場合の対応に不安が残ります。
リフォーム会社
塗装を含め、増改築や設備品の入れ替え工事等、総合的に行っている会社です。
施工は基本的に協力業者や、職人に直接外注する形(中には大工や塗装職人等一部に自社職人がいる場合もあります)で、
受注を請け負い、現場の管理を行います。
●メリット :総合的にリフォーム全般を生業としているため知識や経験値が高く、塗装面に不具合があったり、雨漏りがあった場合に
適切の対応してくれます。
別途リフォームの計画があったり、困っていたり心配なことがある場合、同時に相談に乗ってくれたり提案してくれます。
●デメリット:外注する分、構造的にどうしても高くなってしまいます。
しかし、定期的に発注できる会社は、外注先にもメリットがあり、一般客よりかなり単価を低く設定してもらっている場合が
多く、それほど高くならないのが一般的です。
*会社によって得意、不得意な部門があるため、普段あまり発注できないリフォーム会社には当てはまりません。
塗装専門店
名前の通り、塗装に特化した工事を行っている会社です。
施工は自社で雇っている職人(自社職人)が施工している場合もありますが、一部外注していたり全て外注している業者もたくさんあります。
●メリット :基本的に塗装に関して知識や経験値が高く、塗装に関して安心して任せられます。
また、価格に関して下請けを余りと通さないため、比較的安く施工することが出来ます。
●デメリット:建物の構造的に問題があったり、雨漏りがあった場合、適切な対応が出来ない場合があります。
塗装に関してはプロですが、建物の構造等を把握していない業者が多く、古い建物や下地に問題がある場合は不安が残ります。
塗装職人がコーキングを施工する場合が多々見受けられますが、コーキング専門の職人の施工が、仕上がりを含め望まれます。
個人事業主(一人親方)
塗装を含め、増改築や設備品の入れ替え工事等、総合的に行っている会社です。
施工は基本的に下請け業者に依頼する形(中には一部の部門に自社職人がいる場合もあります)で、受注を請け負い、現場の管理を行います。
●メリット :一番安く塗装する事が可能です。
依頼先が直接の本人になるので、丁寧な仕事と細かい要望の融通が期待されます。
●デメリット:一般の方が個人事業主の方と知り合う機会はなかなか無いのが難しいところです。
職人は比較的気難しかったり、口下手でコミュニケーションが取りにくい方が多い職種です。
また、リフォーム専門店と同様なデメリットが考えられますし、後日相談したい時に仕事を続けているかの不安もあります。
訪問販売会社
突然、ピンポンを鳴らして訪問してくる会社や、電話でアポイントを取って訪問してくる会社です。
施工は下請け業者に丸投げする形で、受注を請け負い、現場の管理を行います。
●メリット :申し訳ありませんが、基本的にメリットは思い浮かびません・・・。
強いて言えば、自分から動かなくても相手からアプローチしてくれることでしょうか・・・?
●デメリット:相場よりかなり高い価格が多く、施工の品質もかなり悪い場合が多いです。
クレームの対応で連絡が付かなかったり、対応してくれない場合が多く、数年したら会社が無くなっている事をが多いです。
基本的に営業によるマニュアル通りの提案となるため、塗装する部分に不具合等がある場合の対応に不安が残ります。
*全ての訪問会社が悪いと言えませんが、まずほとんどの会社に何らかの問題がある場合が多いです。
正直、何か問題がある前に止めておいた方が無難です・・・。
メーカーが指定している塗り数、塗布料(塗装の厚み)、乾燥時間を守って施工しているかがが問題です。
一般の方は当然キチンと守って施工している思っていると思いますが、実際は守らずいい加減な施工をしている業者が多いのが実状です。
素人の一般の方には、上塗りしてしまえばほとんど分からないからいわゆる手抜き工事が横行しています・・・。
なぜこのような事が起こると言えば、極端に安い金額で請け負わせる元請け会社があり、職人としては正しい施工内容で作業していたら
赤字になってしまうからです。
このため、まともに高圧洗浄をしなかったり、下塗りをしなかったり、塗料をシャバシャバに薄めて塗料代を浮かしたり、必要な乾燥時間を置かず
すぐに次の塗装を塗ったりして作業時間を短縮して人件費を浮かしたりしてしまうのです。
仕事がなければお金を稼げず、仕事を請け負っても赤字になってしまったら生活できません。
キチンとした仕事をしたくても、出来ない環境があるのがこの業界の闇と言ってもいいでしょう・・・。
最初からそういった会社や親方について育った職人は当たり前のように思っている職人も多く、「自分は早い!」と早さを売りにする職人の多くは
実際に作業自体が効率よく手早いわけではなく、「手を抜きます!」と言っているようなものだったりします・・・。
キチンとした塗装をするためには、実際に施工に必要な人工(にんく)があり、それより極端に少ない人工で出来るというのは、物理的に手を抜く
しか出来ません・・・。
そんな事をなくすためには十分な手間賃を職人に支払うことが必要で、結果、正しい施工をしてもらえます。
そのため経費が高くなり、ある程度の塗装費用が高くなってしまうのは仕方ありません。
単に安さを売りにする業者は注意が必要です。
訪問販売会社はお客の知識がないのをいいことに、一般的な相場からかけ離れた高い金額で契約しながら、下請け会社には手抜きありきの
あり得ない安い金額で請け負わせます。
チラシ広告やコマーシャルをしているから・・・、名前を聞いたか事があるから・・・と言って信用するのは考え物です・・・。
実際は塗料の種類はメーカーやグレードによって数えられないほど現存しています。
さらに職人の技量によって「人工(にんく)」と呼ばれる日当(1日あたりの給料)に違いがあり、より綺麗な仕上がりを希望する場合は、当然日当は高く工事代金に反映され高くなってしまいます。
例えば、同じ塗料を使っていても、職人の技量によって高くなってしまうのは仕方ないのですが、技量が低い職人の仕事なのに高い見積りを出していても、お客様の立場では塗装後でないと、その技量が分からないのが難しいところなのが悩ましいのですが・・・。
このため悪徳業者がいまだに多い業種になっています・・・。
お客様の立場からすれば、安いに越したことはないの安いに越したことはないですが、塗料の仕入れ価格、職人の日当(給料)、会社の必要経費(利益)を計算すれば、おのずと価格は決まってきます。
会社の規模によって塗料に仕入価格は違ってきますが、全体からすればその差はそれほど極端に違いはありません・・・。
そこから高かったり、安かったりと大きく外れる理由はいくつかあります。
かなり高い見積りを出している業者は、下請けが数社挟んでいたり、利益を大きく取っている業者になります。
訪問販売の業者や大手ハウスメーカーのリフォーム事業がこれにあたると言って良いでしょう。
逆に、かなり安い見積りを出している業者は、何か理由があるのは分かってもらえるかと思います。
職人や下請け業者に無理な価格で仕事をさせているからです・・・。
腕の良い職人や下請け業者は無理な価格では仕事を受けません。
そんな事をしなくても仕事はいくらでもあるからです。
しかし、いくら腕がなくても赤字になるような仕事は出来ません。
結果、いわゆる手抜きが行われることになってしまいます。
使用する塗料を使わず、缶だけ指定の塗料の缶を使い、中身をグレードの低い塗料に変えて使ったり、規定量以上の希釈率でシャバシャバの薄い塗料を塗ったり・・・。
塗料は指定の希釈率で十分な塗料の厚みで塗らないと、期待する性能は発揮できません。
同じ塗料を使用してもこれが十分でないと耐候年数が短くなってしまいます。
安く施工できたと思っていても、あっという間に傷んでしまっては元も子もありません・・・。
恐ろしい事ですが、酷い業者では下塗りもせず、2回必要な必要な上塗りを1回だけしか塗ってない業者がある事も聞いたことがあります・・・。
これは塗ってしまえば、一般の方には違いが分からないため、塗装業界では今でも多く行われているのが現状です。
特に訪問販売の業者では、その場だけ契約して代金をもらってしまえば勝ちなので、施工直後のクレームもいい加減な言い訳で対応しない事が多く、さらに数年後のクレームにはほとんど対応せず、場合によっては会社自体が無くなっていて文句を言う相手がないということも多々あります・・・。
中には誠意のある業者もあるかもしれませんが・・・???、基本的に訪問販売業者での施工はやめておいた方が賢明かと思われます…。
長々と書いてしまいましたが、塗装工事の適正価格と言われても、使用する塗料や建物の劣化状態により下地処理の度合いによって価格は変わってきます。
また、各社事情があり中々これと言う事が難しいのです。
現場調査しなかったり現場調査しても短時間で済ませてしまう業者は
単純に坪数でいくらと言ったり
職人にも色々な職人がいます。
その中でも塗装は一番腕の違いが分かりやすい職種で、各家の塗装を自分の作品として考えている職人が多く、プライドを持って仕事をしている方が多数いらっしゃいます。
その対価として当然適正な費用を支払い、適正な施工と綺麗な仕上がりをしてもらうには必要な費用が発生します。
それにプラスして塗料の費用、必要な経費が加算され適正な価格となるのです。
「だからいくらが適正な価格だ!」と言われても難しいので、3社ほど見積りを取って内容を確認したり、塗装工事をした知り合い等の感想を聞いたりして施工業者を決めるのが良いか?と思います・・・。
塗装工事の価格
アスベスト規制によって開発され発売された2000年前後のノンアスベストのカラーベストは、どのメーカーの製品でもやはり強度不足が見られます。
すでにどの製品も10年以上経っており、何らかの劣化が進んでいると思われ基本的に塗装はお勧め出来ません。
問題のある屋根材について、まだまだ知識や経験が少ない業者が多く、不具合があってもそのまま塗装している事例を見受けられます。
せっかくお金をかけてお手入れしても数年で不具合がでてしまったらお金をドブに捨ててしまうようなものです。
1996年から2008年にかけてカラーベストの屋根で建てられたお宅は、パミールを含め上記の屋根材がほとんどだと思われます。
気になる方は新築時に建築会社から渡された建物の仕様書を確認し、経験と知識、実績のある業者に調査をしてもらいましょう。
信頼できる業者であれば、適切なアドバイス、提案してくれると思いますので、まずは現状を把握することをお勧めします。。