セラミック塗装の嘘!
「セラミック塗装」や「セラミック塗料」をご存じですか?
言葉の響きだけを聞くと、なんだかとてもいい塗装なんだと思いがちです。
(確かにとても良い塗料なのですが、適材適所で使用する必要があること、高い施工技術が必要です。)
これを利用して悪質な業者が、「非常に耐候性が高く、40年保ちます」とか「当社オリジナルの特別な塗料で、価格は高いのですが通常の塗装より何倍も保つので返ってお得ですよ」と言ったセールストークで訪問販売しているケースがよく聞かれます。
当然営業マンは仕事を取ってきてなんぼですが、嘘を言って仕事を取るのは問題ありですよね。
会社から教えられたマニュアルをそのまま鵜呑みにしている、知識のない営業マンがほとんどだとは思いますが・・・
そもそもセラミック塗料とはどういうものかというと、主成分となる樹脂塗料にセラミック(砂や石、陶器、ガラス)を、細かく砕いたものを混ぜた塗料です。
セラミックだけでは固形のため、それだけでは塗装したい壁等の対象物に引っ付かないので樹脂に混ぜるのです。
つまり100%セラミックの物はないのです。
「あれ?セラミック塗料って、全部がセラミックじゃないの?」と名前を聞いた時に思うかもしれませんが、それは違うということです。
塗料のグレードは樹脂の違いより、大きく分けて「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「フッ素」の4つの種類に分かれます。
耐久性はアクリル→ウレタン→シリコン→フッ素と順番に高くなり、同様に価格も高くなります。
この樹脂にセラミックを混ぜて付加価値を持たせたものがセラミック塗料と呼ばれる塗料となります。
この事から分かるように、セラミック塗料の耐久性はベースとなる樹脂の耐久性により違いが出て来るのです。
簡単に言えば、アクリル樹脂にセラミックを混ぜた塗料とフッ素樹脂にセラミックを混ぜた塗料とでは耐久性は全然違い、「セラミック塗料は耐久性が高い」は間違いで、「ベースとなる樹脂の種類で耐久性が変わる」が正解です。
加えて言えば、混ぜるセラミックの量でも耐久性の違いがでるのです。
これからも分かるように、セラミック塗料は30年保つとか、40年保つというのはあり得ないというのが理解できると思います。
セラミック塗料は正式な定義ががなく曖昧なため、セラミックが少ししか入っていなくてもセラミック塗料と呼ぶことが出来てしまいます。
これを利用して悪徳業者はセラミックが少ししか入っていない塗料を、「セラミック」という名前の響きから、いかにも高級塗料だと思わせて高額で契約しています。
確かに石材調と言われる大理石のように色々な砂粒を等を混ぜているセラミック塗料は、凹凸が出来るため奥行きが出て見た目の高級感があり、仕上がりは1色になってしまう塗替え塗装に比べ意匠性が高いのですが、基本的に一般的な塗料に比べかなりの厚みを持っています。
このため、セラミック塗料は何に塗るかという問題があります。
住宅の外壁には主にサイディング、モルタル、タイル、ALC、コンクリート等がありますが、最近の外壁は施工がしやすいためコストパフォーマンスが高く、意匠性の高い窯業系サイディングが多く使われており、そのシェアは80%近いと言われています。
この窯業系サイディングは工法上、左右の接続部には1cmほどの隙間(目地)が必要で、その隙間にはコーキング(シーリング)と呼ばれるゴムのように弾力性のある充填剤を埋め、左右のサイディングを繋いでいます。
これにより建物の揺れ等の動きに対して緩衝材となり割れ等を防ぎ、同時に雨水の侵入を防いでいます。
ALCも同様に繫ぎ目の隙間があり、コーキングで繋いでいます。
このコーキングがポイントとなっていて、コーキングは劣化により縮んだり割れたりするため、コーキングの部分の塗装が割れてしまいます。
通常コーキングは劣化により10年程度で一度撤去して打ち直し(打ち替え)をするのですが、石材調のセラミック塗装の場合は打ち替え出来ません・・・。
つまり、サイディングやALCは石材調のセラミック塗装をしてはいけないのです・・・。
更に石材調のセラミック塗装は、塗面に浮き上がったセラミックが大理石のようになり高級感が出るのですが、そのままではセラミックがポロポロと剥がれ落ちてしまいます。
そのため仕上げとしてクリアの塗料を上塗りして固めているのですが、当然劣化が起こりいずれは剥がれて来てしまいます。
(使用するクリア塗料の樹脂のグレードで耐久性が変わります)
このことをあらかじめ契約前にご説明する必要があるのですが、訪問販売等ではとりあえず契約してしまえば勝ちななので、まず説明することはありません。
1~2年でこのような不具合があることはありませんが、何十年も保つと言われていたのに症状が出たころには会社がなかったり、クレームを言ってもまともに取り合ってくれないのは目に見えています・・・。
しかし、知識のない業者や悪徳な業者は、響きの良く特別感がある「セラミック塗料」を売りに契約、施工しています。
同時にセラミック塗装は、知識と経験が必要で、腕のない職人による施工では塗りムラが出たり、クレームの多い塗装ででもあるのが実状です。
せっかく見た目を良くしようと高いお金を出したのに、仕上がりが残念な結果になる可能性があるのです。
これだけ聞くと、セラミック塗料に悪いイメージを持つかもしれませんが、腕のある職人が適材適所で使用すればとても良い塗料ではあります。
樹脂に混ぜられたセラミックが乾燥の過程で表面に浮きあがり、塗膜面を強くします。
この事で、対候性、耐久性、耐熱性、汚染性が高くなり、セラミック配合量が多ければ多いほどその効果は上がります。
(石材調では意匠性も良くなります)
モルタルやコンクリート等の目地のない外壁への施工は、価格が高くはなりますがお勧めの塗料ではあります。
あくまでも意匠性が高く、名前からのイメージを利用してお客様を騙すような営業をしている事が問題なのです。
これを読んだみなさんはこの事実をよく考え、ご自身の外壁を確認した上で施工して下さい。
*余談として「他にはない自社で開発した高性能で特別なオリジナル塗料です!」「大手メーカーと共同開発したオリジナル品です」と、
営業をしている訪問販売会社の話しをよく聞きます。
結論から言えばそんなオリジナル塗料はありません!
塗料会社は多額の研究費を掛け、長年研究開発して販売に至ります。
1会社や業者が簡単に開発できるものではありませんし、共同開発までしているところはまずありません。
精々、市販品をベースに一部の原料を多少多めに配合している程度です。
(もしかしたら逆にコストダウンするために、重要な原料を少なくしているかもしれません・・・笑)
オリジナル塗料と呼ばれるほぼ全てがOEM製品と呼ばれる、大手塗料メーカーの製品にそのままラベルだけ貼り換えただけのものを
オリジナル製品ですと、高い価格を設定しています。
事実、ある程度の規模で施工をしている会社に対して、メーカーの営業から「オリジナルの製品(OEM製品)を作りませんか?」と
提案される事はよくある事です。
営業手法の一つかもしれませんが、「一事が万事」そのような営業をする会社は、他にも色々おかしな事がある可能性が高いので、
まともに取り合わない方が良いのではないでしょうか・・・?
塗料のグレード
塗料のグレードは大きく分け「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「フッ素」の4つに分かれます。
これはベースとなる樹脂の種類で、それぞれ耐久性が違います。
耐久性はウレタンで5年ほど、ウレタンで7~10年、シリコンで10~15年、フッ素で15年~20年と言われています。
例えばシリコンと言っても同じメーカーでも性能が違う塗料がいくつもあります。
また、同じ塗料を使っても建物の条件により違いが出てきます。
基本的に、左の図の通り、耐久性に比例して価格もあがります。
これとは別に、上述したセラミック塗料や遮熱塗料、耐熱塗料等がありますが、これはベースとなる樹脂塗料に機能性のある物質を混ぜる事で付加価値を持たせた塗料で、耐久性に関してはベースとなる樹脂の性能に基づきます。
石材調セラミック塗装
ベースとなる樹脂に、高温で焼成着色した有色陶磁器質骨材や天然石等を細かく砕きブレンドした塗料です。
吹き付けで塗装したあと、クリア塗料を上塗りし仕上げます。
塗膜は通常の塗装に比べかなりの厚みがあります。
様々な粒度・色目の骨材を使用している為、豊かな色彩と深み、奥行きから立体感を生み出し、豊かな表情に仕上がります。
意匠性の高い窯業系サイディングへのお手入れの際、1色で塗り替えてしまうと単調で寂しい感じなってしまうため、石材調のセラミック塗装をしようと安易に考えがちですが、上述したように後日不具合が出る可能性が高いため、窯業系サイディングへの塗装はお勧めできません。
訪問販売の会社がよく使う塗料ですが、同じような色調に塗装したい場合は、下記にご案内している多彩模様塗装をお勧めします。
セラミック塗装の割れ
窯業系サイディングの外壁の場合、施工上必ず隙間(目地)があり、コーキングが打ってあります。
このコーキングは経年で収縮しヒビや割れは必ず起こります。
一般的には10年程度で打ち替えが必要で、必ずお手入れが必要です。
この上に石材調のセラミック塗装をした場合、コーキングの収縮に追随できず、塗面の割れが起こることが多々あります。
訪問販売の場合コーキングの打ち替えずにその上に塗装してしまう事もあり、場合によって短期で割れが発生してまう事もあります。
酷い場合は1ヵ月もしないうちに、あちこち割れが出て補修した事例をお聞きしたことがあります。
この時、補修してもらうための交渉にすごく大変だったとお聞きしましたし、補修後の仕上りも酷く残念な仕上がりでした・・・。
セラミック塗装を補修する場合、元々の色調と違ってしまう事が多々あります。
セラミック塗装の剥がれ
石材調のセラミック塗装は、骨材となるセラミック(砂や石、陶器、ガラス)を樹脂塗料に混ぜて造られています。
乾燥の工程で表面に浮き上がり、表面に飛び出すことで凹凸感ができ、その事で高級感が出来ますが、そのままではすぐに骨材(セラミック)が剥がれ落ちてしまいます。
このためクリア塗装を上塗りして押さえつけている構造となっています。
ということは、表面のクリア塗装が劣化するとセラミックがボロボロと剥がれ落ちてくるということになります。
訪問販売で良い事だけ聞いていた場合、「何十年も保つと聞いていたのに・・・」とトラブルになる事はよくある事です。
セラミック(砂や石、陶器、ガラス)を配合した石材調のセラミック塗装を施工した場合、先々こういった症状が起こることを理解した上で施工する必要があります。
多彩模様塗装
ハウスケアが提案している、特殊な塗料により大理石調に仕上がる塗装で、訪問販売等で提案されるセラミック塗装とは異なります。
訪問販売で施工される石材調セラミック塗装は、上述したように
砂や石、陶器、ガラスを、細かく砕いたものを混ぜた塗料で、硬く厚みがあるためサイディングボードにはお勧め出来ません。
この「多彩模様塗装」は、ベースとなる塗料の中に数種類の特殊着色ゲル(粒状の塗料)が配合されており、画像のように大理石調の仕上がりとなりますが、セラミックの粒を配合していないため時間が経っても粒が剥がれ落ちてくることはありません。
セラミックの粒を配合したセラミック塗装に比べると、凹凸が少ないため仕上がりは多少劣りますが、少し離れて見ればほとんど変わりません。
ハウスケアでは、見た目も大理石調に仕上がり、耐用年数が高くトラブルの少ない「多彩模様塗装」をお勧めしています。